見守りパトロール｜NPO法人やまなしライフサポート

路上生活者パトロール参加者より

開かれなかった遺書
初秋のある日曜日、パトロールに参加し４名の仲間と二組に分かれて甲府市内を歩いた。舞鶴公園方面を歩いているもう一組の仲間から、遠方から甲府に来たという中年の男性を紹介された。数日間甲府市内で野宿したとのことだったが、身体的にも精神的にもただ事ではないことが一目でわかった。その晩は、とにかく布団で寝ていただこうと安い宿に泊まってもらった。次の日に、無料低額診療事業を行っている甲府共立病院に同行して診てもらったところ即日入院。病院の医療ソーシャルワーカーの優しい親切なサポートで、不安げな表情から笑みを浮かべて話すまでに心が回復してきた。病院で何回か話しているうちに、ご自身のつらい過去や、遺書までしたためて山梨に来たこと等話してくれ、ともに友達になろうと「遺書」を預かり、感謝の祈りをした。その後、甲府市の福祉担当ワーカーの仕事を越えた親身の対応で、アパート等生活の基盤もでき、先の見える生活を通院しながら送れるようになった。ひとりの死をも覚悟するほどの困窮者に生きる望みを与えるものは、人の優しさや温かさであることを二人のワーカーの対応から改めて教えられた。弱い立場にある一人との出会いを感謝し、「真の神は、サポートする側ではなく、サポートされる側におられる」との言葉を想起した。（木村輝三さん）